いま日本で合法にできる民泊は4つ。そこに来年1つ加わり、合計5つとなる予定です。
1.簡宿民泊
2.特区民泊
3.新法民泊
4.農漁村民泊
5.イベント民泊
週刊住宅に連載中の「民泊革命」で、このうち、1~3についての比較を行いました。参考にして頂けたら幸いです。
前回お伝えしたように、6月22日民泊サービスのあり方に関する検討会の最終報告が公開されました。報告は、下記の4つの内容からなっています。
Ⅰ 検討に当たっての基本的な視点と主な論点等
Ⅱ これまでの対応策-現行制度の枠組みの中での対応-
(簡易宿所要件緩和)
Ⅲ 民泊の制度設計のあり方について
Ⅳ ホテル・旅館に対する規制等の見直し
少子化が進む日本の中で、インバウンドのマーケットは、数少ない成長が見込める分野です。今後の我々の生活を考えるのであれば、3月に政府が立てた2020年訪日観光客数4000万人、2030年同6000万人という目標は、是非とも達成すべきと言えるでしょう。
そして、日本より人口の少ないイギリスやタイに3000万人以上の観光客が訪れていること、これまで15~20年で倍々に成長する世界の海外旅行市場、世界の観光立国が持つ①気候、②自然、③文化、④食事という条件を日本が兼ね備えていること、世界の国々の観光作業が平均GDPの9%を占めていていることから日本にふさわしい客数を計算しても、これだけの訪日観光客数を達成することは不思議なことではありません。
空き家が820万戸以上ある現在、観光立国化に伴う宿泊需要を全てホテル・旅館の増設でまかなうのは非効率です。使われていない空き家の有効活用を考えることが日本社会全体の利益にかないます。
それ以外にも、民泊には、草の根の国際交流が進む点、それが新しい観光マーケットの開発につながる点、日本人の語学力や国際的な対応力を向上させる点、老後破産が問題になる中シニアの収入につながる例がある点、地方創生につながる可能性など、多くのメリットが存在します。
確かに、騒音、ゴミの原因となったり、テロや伝染病のきっかけになる可能性がないとは言いませんが、それについても、ガイドラインを設け、管理していくことで、リスクを最小限に抑えることができます。外国人が近くにいるだけで気持ちが悪いという意見も有りますが、これは日本人がまだ「心の鎖国」をしているからです。民泊は、「心の開国」をできるかどうかの試金石と言えるでしょう。
以上を踏まえ、最終報告を基に下記のように進めることを提案します。
1.新法制定と同時に行う旅館業法改正において、1部屋以上のホテル・旅館を認め、定員10人未満の小規模施設については、本人確認+記録保管・緊急時の連絡先設置を条件にフロント不要とすること
2.旅館業法5条は、障害、人種などによる不当な差別を制限するにとどめる規定に改正すること
3.空き家の多いマンション、アパートをホテルに用途変更できるようにするため行った国交省からの通知を検討し、不十分な点(容積率以外の点、検査済証のない場合の手続)を追加した上で、建築基準法、政省令の改正を早急に進めること
4.新法民泊の年間稼働日数は180日以下で確定し、自治体での制限はできないこととすべき
5.180日の数え方は、稼働可能日を申告する形(事前申告制)ではなく、後付けで実働日を計測する形(事後計測制)とすること
参考にして頂ければ幸いです。
6月20日第13回民泊サービスのあり方に関する検討会が終了し、22日最終答申が公開されました。
詳しくは改めて論じますが、
1.実施日数を180日以内にしていること
2.家主不在型については管理会社を登録する形にしたこと
3.民泊で利用される建物は住宅と定義し、住居専用地域でも実施可としたこと
4.仲介会社についても登録制とすること
5.旅館業法についても同時に改正を行うこと
が骨子と言えます。
180日以内の何日以内になるのか、その数え方はどうなるのか、自治体でどこまで制限できるのか、旅館業法の緩和の内容など、まだまだ決まっていないことがあり、その辺りの政治的な攻防は参議院選挙以降に先送りした形。今後は内閣府での法案提出を目指して、基本的には厚労省、国交省中心に法案の詰めを行うのではないかと思われます。
正直、日数制限があると、ビジネスとしての利用は難しく、旅館業法の緩和の内容が大きなポイントになるのではないかと考えています。
(以下答申全文)
「民泊サービス」の制度設計のあり方について
(「民泊サービス」のあり方に関する検討会最終報告書)
平成28年6月20日
はじめに
○ 「民泊サービス」(この報告書で「民泊サービス」とは、住宅(戸建住宅、共同住宅等)の全部又は一部を活用して、宿泊サービスを提供するものとする。以下「民泊」という。)については、ここ数年、インターネットを通じ、空き室を短期で貸したい人と旅行者をマッチングするビジネスが世界各国で展開されており、我が国でも急速に普及している。
○ こうした民泊については、急増する訪日外国人観光客のニーズや大都市部での宿泊需給の逼迫状況への対応といった観光立国の推進の観点や、地域の人口減少や都市の空洞化により増加している空き家の有効活用といった地域活性化の観点から活用を図ることが求められており、感染症まん延防止やテロ防止などの適正な管理、安全性の確保や地域住民等とのトラブル防止に留意したルールづくりが求められている。
○ また、民泊を反復継続して有償で行う場合、我が国においては旅館業法の許可が必要であるが、旅館業法の許可が必要であるにもかかわらず、許可を得ずに実施される違法な民泊が広がっており、それらへの対応も急務である。
○ こうした状況を踏まえ、平成27年6月30日に閣議決定された「規制改革実施計画」において、「インターネットを通じ宿泊者を募集する一般住宅、別荘等を活用した民泊サービスについては、関係省庁において実態の把握等を行った上で、旅館・ホテルとの競争条件を含め、幅広い観点から検討し、結論を得る」(平成27年検討開始、平成28年結論)こととされた。
○ これを受け、当検討会では、民泊に関するルール整備に向け、平成27年11月から検討を開始し、事業者、関係団体、地方公共団体などの関係者からヒアリングを行いながら精力的に検討を重ね、本年3月15日に「中間整理」を取りまとめた。更に、「中間整理」において整理した「中期的な検討課題」について、検討を進めてきたところである。
○ また、本年6月2日に閣議決定された「規制改革実施計画」において、当検討会の検討状況も踏まえた、民泊についての枠組みが示された。
○ これらを踏まえ、このたび、これまでの計13回にわたる検討会での検討結果として、「「民泊サービス」の制度設計のあり方について」報告書を取りまとめたので、公表する。
Ⅰ 検討に当たっての基本的な視点と主な論点等
○ 当検討会は、以下の3点を検討に当たっての「基本的な視点」として掲げ、検討を進めてきた。
① 衛生管理面、テロ等悪用防止の観点から、宿泊者の把握を含む管理機能が確保され、安全性が確保されること。
② 地域住民とのトラブル防止、宿泊者とのトラブル防止に留意すべきこと。
③ 観光立国を推進するため、急増する訪日外国人観光客の宿泊需要や、空きキャパシティの有効活用等地域活性化などの要請に応えること。
○ その上で、検討に当たっては、旅館・ホテルとの競争条件、地域ごとの宿泊需給の状況、規制内容や方法に対応した自治体の体制等に留意しつつ、民泊の必要性・位置付け、民泊と旅館業法等関連法令との関係、仲介事業者の位置付け・役割、仲介事業者と旅行業法との関係等を論点として、検討を進めてきた。
Ⅱ これまでの対応策-現行制度の枠組みの中での対応-
○ 本来必要な旅館業法の許可を得ていない違法な民泊が広がっているため、この状況に早急に対応する必要がある。このような認識の下、当検討会の「中間整理」において、「早急に取り組むべき課題と対応策」として、簡易宿所の枠組みを活用した旅館業法の許可取得促進のための提言を行った。この提言を踏まえ、関係省庁において、これまで以下の対応策が実施されてきた。
○ 旅館業法施行令が改正され、簡易宿所営業の客室延床面積の基準について、33㎡以上とされていたところ、宿泊者数を10人未満とする場合には、宿泊者数に応じた面積基準(3.3㎡×宿泊者数以上)とするよう緩和された(本年4月1日施行)。
○ 厚生労働省の通知が改正され、簡易宿所営業において宿泊者数を10人未満とする場合には、宿泊者の本人確認や緊急時の対応体制など一定の管理体制が確保されることを条件として、玄関帳場の設置を要しないこととされた(本年4月1日施行)。
○ 本年4月1日付けの厚生労働省の通知及び同月27日に開催された自治体担当者向け説明会において、厚生労働省から、上記の簡易宿所営業における基準緩和措置の趣旨の説明がなされるとともに、当該措置の趣旨を踏まえた条例の弾力運用や改正等を必要に応じて行うことが要請された。
○ 民泊を行う場合においても、反復継続して、宿泊料とみなすことができる対価を得て人を宿泊させる場合には、原則として、旅館業法の許可を取得することが必要であることや上記の簡易宿所営業における基準緩和措置の内容を分かりやすく取りまとめたQ&Aが厚生労働省において作成され、本年4月1日に各自治体に通知されるとともに、厚生労働省のホームページに掲載された。
○ また、厚生労働省・観光庁連名で、海外の民泊仲介サイトの運営事業者に対し、文書により、民泊サービスの適正な実施を図る観点から、民泊を反復・継続して有償で行う場合には原則として旅館業法の許可が必要であることの周知、簡易宿所の営業許可基準の緩和措置を踏まえた許可取得についての登録ホスト等への呼びかけなどが要請された。
○ 簡易宿所の許可の枠組みの活用が図られるよう、実態の把握を図りつつ、引き続き、制度のより一層の周知や自治体への協力要請等に努めるべきである。
Ⅲ 民泊の制度設計のあり方について
○ 民泊について、急増する訪日外国人観光客の宿泊需要に対応するための宿泊施設の供給という観点、地域の人口減少や都市の空洞化により増加している空き家の有効活用といった地域活性化の観点、日本の暮らしや文化を体験したいといった多様な宿泊ニーズに対応した宿泊サービスの提供という観点など様々な観点から、その必要性(ニーズ)が指摘されている。
○ 民泊に対するこうした様々なニーズに応えつつ、宿泊者の安全性の確保、近隣住民とのトラブル防止などが適切に図られるよう、旅館業法等の現行制度における規制のあり方を見直しつつ、仲介事業者等に対する規制を含めた制度体系を構築すべきである。
○ そこで、適切な規制の下でニーズに応えた民泊を推進することができるよう、以下の枠組みにより、類型別に規制体系を構築することとし、早急に法整備に取り組むべきである。
1.基本的な考え方
(1)制度目的
民泊の健全な普及、多様化する宿泊ニーズや逼迫する宿泊需給への対応、空き家の有効活用など
(2)制度の対象とする民泊の位置付け
住宅を活用した宿泊サービスの提供と位置付け、住宅を1日単位で利用者に
利用させるもので、「一定の要件」の範囲内で、有償かつ反復継続するものとす
る。
「一定の要件」を超えて実施されるものは、新たな制度枠組みの対象外であり、旅館業法に基づく営業許可が必要である。
(3)制度枠組みの基本的な考え方
「家主居住型」と「家主不在型」に区別した上で、住宅提供者、管理者、仲介事業者に対する適切な規制を課し、適正な管理や安全面・衛生面を確保しつつ、行政が、住宅を提供して実施する民泊を把握できる仕組みを構築する。
(4)法体系
この枠組みで提供されるものは住宅を活用した宿泊サービスであり、ホテル・旅館を対象とする既存の旅館業法とは別の法制度として整備することが適当である。
2.家主居住型(ホームステイ)に対する規制について
○ 「家主居住型(ホームステイ)」とは、住宅提供者が、住宅内に居住しながら(原則として住民票があること)、当該住宅の一部を利用者に利用させるものをいう(この場合、住宅内に居住する住宅提供者による管理が可能)。
○ 住宅提供者は、住宅を提供して民泊を実施するに当たり行政庁への届出を行うこととする(家主不在型も同様)。
○ 住宅提供者には、利用者名簿の作成・備付け(本人確認・外国人利用者の場合は旅券の写しの保存等を含む。)、最低限の衛生管理措置、簡易宿所営業並みの宿泊者一人当たりの面積基準(3.3㎡以上)の遵守、利用者に対する注意事項の説明、住宅の見やすい場所への標識掲示、苦情への対応、当該住戸についての法令・契約・管理規約違反の不存在の確認等を求め、安全面・衛生面を確保し、匿名性を排除する。また、無登録の仲介事業者の利用の禁止を求めるべきである(家主不在型も同様)。
○ また、法令違反が疑われる場合や感染症の発生時等、必要と認められる場合の行政庁による報告徴収・立入検査、違法な民泊(「一定の要件」に違反した民泊や、家主居住型と偽って家主不在型の民泊を提供するもの等)を提供した場合の業務の停止命令等の処分、無届で民泊を実施したり、上記の義務に違反するなどの法令違反に対する罰則等を設けることを検討すべきである(家主不在型も同様)。
住宅提供者は、行政庁からの報告徴収等に応ずることはもとより、行政当局(保健衛生、警察、税務)の求めに応じて必要な情報提供を行うべきである。
※ 住宅提供者が仲介事業者を利用せず、自ら利用者を募集する場合についても、本報告書の制度設計のあり方に沿って取り扱うべきである。
○ 宿泊拒否制限規定は設けない(家主不在型も同様)。
3.家主不在型に対する規制について(管理者規制)
○ 「家主不在型」の民泊(出張やバカンスによる住宅提供者の不在期間中の住宅の貸出しは家主不在型と位置付け)については、家主居住型に比べ、騒音、ゴミ出し等による近隣トラブルや施設悪用等の危険性が高まり、また、近隣住民からの苦情の申入れ先も不明確である。
○ そこで、「家主不在型」の民泊については、住宅提供者が管理者に管理を委託することを必要とし、適正な管理や安全面・衛生面を確保する。
○ 管理者は行政庁への登録を行うこととする(住宅提供者自らが管理者としての登録を受ければ、自宅で、家主不在型の民泊を提供することも可能)。
○ 管理者による住宅提供者の届出手続の代行を可能とすることを検討すべきである。
○ 管理者は、住宅提供者からの委託を受けて、利用者名簿の作成・備付け(本人確認・外国人利用者の場合は旅券の写しの保存等を含む。)、最低限の衛生管理措置、簡易宿所営業並みの宿泊者一人当たりの面積基準(3.3㎡以上)の遵守、利用者に対する注意事項の説明、住宅の見やすい場所への標識掲示(国内連絡先を含む。)、苦情への対応、当該住戸についての法令・契約・管理規約違反の不存在の確認等を行う。
○ また、法令違反が疑われる場合や感染症の発生時等、必要と認められる場合の行政庁による報告徴収・立入検査、上記業務を怠った場合の業務停止命令、登録取消等の処分、法令違反に対する罰則等を設けるべきである。
管理者は、行政庁からの報告徴収等に応ずることはもとより、行政当局(保健衛生、警察、税務)の求めに応じて必要な情報提供を行うべきである。
4.仲介事業者規制について
○ 民泊(家主居住・不在型いずれも含む。)に係る仲介事業者は行政庁への登録を行うこととし、仲介事業者には消費者の取引の安全を図るため、取引条件の説明義務や新たな枠組みに基づく民泊であることをサイト上に表示する義務等を課すべきである。
○ また、行政庁による報告徴収・立入検査、違法な民泊(無届の家主居住型民泊、登録管理者不在の家主不在型民泊、「一定の要件」に違反した民泊等)のサイトからの削除命令、違法な民泊であることを知りながらサイト掲載している場合の業務停止命令、登録取消等の処分、法令違反に対する罰則等を設けるべきである。
仲介事業者は、行政庁からの報告徴収等に応ずることはもとより、行政当局(保健衛生、警察、税務)の求めに応じて必要な情報提供を行うべきである。
○ 外国法人に対する取締りの実効性確保のため、法令違反行為を行った者の名称や違反行為の内容等を公表できるようにすることを検討すべきである。
5.一定の要件について
○ 上記の「一定の要件」としては、既存の旅館、ホテルとは異なる「住宅」として扱い得るような合理性のあるものを設定することが必要である。
○ そのような「一定の要件」としては、年間提供日数上限などが考えられるが、「住宅」として扱い得るようなものとすることを考慮すると、制度の活用が図られるよう実効性の確保にも配慮しつつ、年間提供日数上限による制限を設けることを基本として、半年未満(180日以下)の範囲内で適切な日数を設定する。なお、その際、諸外国の例も参考としつつ、既存のホテル・旅館との競争条件にも留意する。
○ 「住宅」として扱い得るような「一定の要件」が設定されることを前提に、住居専用地域でも実施可能とすべきである(ただし、地域の実情に応じて条例等により実施できないこととすることも可能)。
○ 「一定の要件」が遵守されているかのチェックのため、住宅提供者又は管理者に報告などを求めるべきである。
6.所管行政庁について
○ 民泊は住宅を活用した宿泊の提供という位置付けのものであること、仲介事業者に対する規制の枠組みを設けること、感染症の発生時等における対応が必要であること等にかんがみれば、国レベルにおいては、国土交通省と厚生労働省の共管とすることが適当である。
○ 地方レベルにおいても、関係部局が複数にまたがることが想定されるが、国民にとって混乱のないよう窓口は明確にした上で、関係部局間での必要な情報連携が図られる方向で整理すべきである。
○ なお、新たな民泊制度の実施に当たり、保健所その他関係機関における体制強化について、民間への事業委託の積極活用を含め検討すべきである。
7.その他
○ 制度設計の具体化に当たっては、規制の実効性を担保することができるよう、必要な措置を更に検討すべきである。また、地域の実情に配慮することも必要である。
○ その際、法制上の措置のみならず、利用者の安全・安心のため、例えば、住宅提供者に損害保険への加入を促すことなどガイドラインによる対応も組み合わせて検討すべきである。
○ 「届出」及び「登録」の手続はインターネットの活用を基本とし、マイナンバーや法人番号を活用することにより住民票等の添付を不要とすることを検討するなど、関係者の利便性に十分配慮する必要がある。
○ 新たな枠組みに基づく制度の実施に当たっては、その施行のための準備期間について配慮が必要である。また、国民や関係事業者等に対する制度の周知・啓発等に努めるべきである。
○ 法律の施行後、その状況に応じた見直しを必要に応じて行う旨を法律上明記すべきである。
○ なお、民泊を推進する手法のひとつとして、国家戦略特区制度の活用が考えられるが、今後、特区制度をどのようにしていくかについては、まずは実施状況の検証結果を踏まえることが必要ではないかと考えられる。
Ⅳ.ホテル・旅館に対する規制等の見直し
○ 既存のホテル・旅館に対する規制の見直しについても、民泊に対する規制の内容・程度との均衡も踏まえ、早急に検討すべきである。また、民泊に係る法整備と併せ、旅館業法の改正についても検討すべきである。具体的には以下のような点が挙げられる。
○ 近年、旅館とホテルを区別することの合理性が薄れてきていることから、旅館業法に基づく営業許可を一本化することや許可基準のあり方について検討すべきである。
○ 宿泊拒否の制限規定については、既存のホテル・旅館について今日的意義が薄れているのではないかとの指摘があることにかんがみ、不当な差別的取扱いがなされないことに留意しつつ、合理的なものとなるよう見直す方向で検討すべきである。
○ 旅館業法に基づく営業許可を受けずに営業を行っている者(以下「無許可営業者」という。)その他旅館業法に違反した者に対する罰則については、罰金額を引き上げる等実効性のあるものに見直すべきである。
○ また、無許可営業者に対する報告徴収や立入調査権限を整備することについても併せて検討すべきである。
○ 旅館業法の許可に当たり、賃貸借契約、管理規約(共同住宅の場合)に反していないことを担保できるような措置について、検討すべきである。
○ 旅館業法以外の法令においても、既存のホテル・旅館に対する規制の見直しについて、民泊に対する規制の内容・程度との均衡も踏まえ、早急に検討すべきである。
Ⅴ おわりに
○ 当検討会では、関係者からヒアリングを行いながら、民泊の制度設計のあり方について具体的に検討を重ね、本報告書を取りまとめた。関係省庁においては、本報告書を踏まえ、今後も関係者の意見を十分に尊重しながら引き続き検討を進め、法整備その他の必要な対応に早急に取り組むことを期待する。
(参考1)「民泊サービス」のあり方に関する検討会 開催経過
第1回 平成 27 年 11 月 27 日
1.検討会の開催趣旨について
2.関連する現行制度について
3.検討に当たっての基本的な視点と主な論点(案)について
4.今後の検討スケジュール(案)について
第2回 平成 27 年 12 月 14 日
1.事務局からの説明
2.関係者からのヒアリング
・Airbnb, Inc.
・一般社団法人新経済連盟
・一般社団法人日本旅館協会
・一般社団法人日本ホテル協会
・一般社団法人日本シティホテル連盟
第3回 平成 27 年 12 月 21 日
1.内閣官房 IT 総合戦略室からの説明
2.関係者からのヒアリング
・一般社団法人日本旅行業協会
・株式会社百戦錬磨
3.意見交換
第4回 平成 28 年1月 12 日
1.規制改革会議の「民泊サービスの推進に関する意見」について
2.関係者からのヒアリング
・株式会社スペースデザイン
3.中間的な論点整理に向けた検討の方向性について
第5回 平成 28 年1月 25 日
1.関係者からのヒアリング
・京都市、港区、新宿区、渋谷区
2.中間的な論点整理に向けた検討の方向性について
第6回 平成 28 年2月 29 日
1.関係者からのヒアリング
・管理組合法人ブリリアマーレ有明 Tower&Garden
2.早急に取り組むべき課題について
3.中期的に検討すべき課題について
第7回 平成 28 年3月 15 日
1.中間整理
第8回 平成 28 年4月 12 日
1.明日の日本を支える観光ビジョン構想会議について(報告)
2.早急に取り組むべき課題への対応状況について(報告)
3.関係者からのヒアリング
・一般社団法人民泊協会
・とまれる株式会社
4. 中期的に検討すべき課題について(意見交換)
5. その他
第9回 平成 28 年4月 22 日
1.旅館業法遵守に関する通知に係るフォローアップ調査結果について(報告)
2.中期的に検討すべき課題について
3. その他
第10回 平成 28 年5月 13 日
1.民泊サービスの制度設計について
2. その他
第11回 平成 28 年5月 23 日
1.規制改革会議の「規制改革に関する第4次答申」について
2.関係者からのヒアリング
・株式会社コスモスイニシア
3.民泊サービスの制度設計について
4.その他
第12回 平成 28 年6月 10 日
1.民泊サービスの制度設計について
2.必要な法整備(旅館業法の改正事項として考えられる事項)について
3.その他
第13回 平成 28 年6月 20 日
1.最終報告書の取りまとめ
2.その他
(参考2)「民泊サービス」のあり方に関する検討会
(五十音順、敬称略)
◎は座長、○は座長代理
(構成員)
相澤 好治 北里大学名誉教授
◎浅見 泰司 東京大学大学院工学系研究科教授
今井 猛嘉 法政大学大学院法務研究科教授
梅沢 道雄 相模原市副市長
川口 雄一郎 公益社団法人全国賃貸住宅経営者協会連合会前会長
北原 茂樹 全国旅館ホテル生活衛生同業組合連合会会長
熊谷 則一 涼風法律事務所 弁護士
小林 恭一 東京理科大学大学院国際火災科学研究科教授
末永 照雄 公益財団法人日本賃貸住宅管理協会会長
高橋 進 株式会社日本総合研究所理事長
中島 正信 神奈川県副知事
廣岡 裕一 和歌山大学観光学部教授
松村 敏弘 東京大学社会科学研究所教授
○三浦 雅生 五木田・三浦法律事務所 弁護士
森川 誠 一般社団法人不動産協会事務局長
吉川 萬里子 公益社団法人全国消費生活相談員協会理事長
(オブザーバー)
上田 正尚 一般社団法人日本経済団体連合会産業政策本部長
昨年末、民泊が標準管理規約の「専ら住宅として使用」条項に反しているという国交省の見解が示されましたが、それに基づく通達は規制改革会議の方からストップがかかり、検討に入ったという情報は得ていました。その後その検討がどうなったかの発表がないと思っていたのですが、民泊サービスのあり方に関する検討会とは別の有識者会議=1月25日の都市再生分科会で検討結果が報告されていたそうです。
その中で、政府は特区民泊が「専ら住宅として使用」の条項に反しないという立場であることを明らかにしたそうです。この見解は、特区民泊に対するものですが、これを新法民泊に適用できるかを考えてみました。今回の見解は、下記の4点にまとめられています。
1.特区民泊は一般的な管理規約(「専ら住宅として使用」条項)に抵触する」との趣旨の報道が一部でなされているが、政府がこうした内容の通達を出した事実はない。
⇒ 昨年末の会見で大臣が抵触する旨回答したのですが、通達は規制改革委員からストップがかかり、検討に入ったと報道がありました。その後は何らの通達も出されていない状態です。
2.従来は1ヶ月未満の借家契約(民泊)は旅館業法の規制対象下にあったが、特区においては一定の要件を満たす民泊(特区民泊)は旅館業法の適用除外となった。
⇒ 現時点における特区以外での民泊は旅館業法違反というのが保健所の見解です。ただ、民泊新法が施行後は、届出を出せば旅館業法の適用はないので特区民泊と同様に考えることができます。
3.旅館業法の適用除外により特区内では合法的に民泊事業ができるようになったが、各分譲マンションの住民らが管理規約を改正し、民泊を禁止することはできる。東京有明のマンションでは実際に改正している事例もある。
⇒ 標準管理規約ではなく、民泊禁止条項を入れることも可能です。残念ながら、そういう条項が入ると、民泊は規約違反になります。そういう規約は経済的自由権の不当な侵害になり無効だという意見もありますが、最終的な結論は司法的な判断に委ねられることになるでしょう。
4.特区民泊は、近隣住民への周知や苦情相談窓口の設置、ゴミ出し・騒音などに係る利用者への徹底など、一定の基準を満たした事業者に対して自治体が個別に認定を行う制度で、事業者認定を取り消すこともできる。そもそも住民の平穏な生活を守ることに配慮して作られた制度であり、管理規約改正を検討する際にはこの制度の内容を踏まえて検討することを推奨する。
⇒ 新法民泊においても、周辺住民に配慮して立法されると思われるので、特区民泊と同様に考えて良いのではないかと思います。新法での届出がない民泊については、この部分の担保がない状態ではあります。
なお、上記の背後にある考え方として「旅館と不動産契約との線引き」が1ヶ月だったのを特区では7日にずらしたという説明をしています。旅館業法の適用外とする点は同じですが、新法民泊における線引きが「旅館業と民泊との線引き」である点、宿泊日数の長さが問題とされずに年間での実施日数中心に議論されている点が異なっていると言えます。
いずれせよ「『専ら住宅として使用』という点を突き詰めると、現状一般的に行われている分譲マンションにおける法人登記や事務所兼用もだめになるという議論につながる」という指摘により、マンションの標準管理規約によって民泊をすべて排除できるという考え方は成り立ちにくくなっていると言えるでしょう。
MINPAKU.Biz
2016.02.05
JASDAQ上場企業である、ピクセルカンパニーズ株式会社(東京都港区)が、子会社ハイブリッド・ファシリティーズ株式会社の行っていた民泊運営支援事業から撤退することをリリースしました。
詳細は下記のとおりです。内容を見ると、業態的には開設の支援が中心かと思われますが、詳しい情報がなく、何とも判断できません。自分の知る範囲では、民泊施設が警察から捜索や差し押さえを受けた例は、事故や事件が有った場合を除いてありませんので、この運営者の施設で何らかの事故や事件が発生したか、保健所から度々注意を受けていたにも関わらず無視をしていたかではないかと思われます。
下記のような点につき、続報を期待したいところです。
1)子会社の行っていた支援の内容
2)支援先の運営者が運営していた物件
(場所、間取り、一戸建かマンションか)
3)周囲からの苦情の状況
4)保健所からの注意の状況
5)事件・事故の発生の有無と発生時の内容
6)警視庁の捜査・差押えの趣旨
ピクセルカンパニーズ株式会社リリース↓
民泊関連事業に関する取組みからの撤退についてのお知らせ
当社は、本日開催の取締役会において平成 28 年2月 16 日付「民泊関連事業に関する取組みについてのお知らせ」にてプレスリリースした、当社子会社であるハイブリッド・ファシリティーズ株式会社が行う民泊関連事業に関する取組みから撤退することについて決議いたしましたので、お知らせいたします。
記
1.民泊関連事業からの撤退に至った経緯
ハイブリッド・ファシリティーズは平成 28 年2月 16 日付「民泊関連事業に関する取組みについてのお知らせ」の一環として民泊運営者に対して運営支援等サービスのテスト運用を行ってまいりました。しかしながら、平成 28 年6月2日に、ハイブリッド・ファシリティーズが運営支援等を行っていた運営者に対する旅館業法違反の被疑事件の一環でハイブリッド・ファシリティーズに対して警視庁による捜査(捜索・差押)が実施されました。民泊については、一部の自治体において条例の整備等行われておりますが、多くの自治体で条例が整備されていない状況であり、法令整備までには一定の時間を要するものと考えております。
以上のことから、当社といたしましては、法令遵守を第一に掲げていることから、民泊に関連する事業から撤退することを決定いたしました。
また、当社といたしましては、この事実を厳粛に受け止め、今後、引き続き捜査当局に全面的に協力してまいります。取引先様、株主様、投資家様その他関係者の皆様には、多大なるご迷惑とご心配をお掛けしておりますことを、重ねて深くお詫び申し上げます。
2.内部統制の強化
当社では、法令遵守を第一に事業運営に取り組んでおりますが、今一度各種会議での周知徹底を行い、更なる社内体制の強化に努める所存であります。
3.今後の見通し
民泊関連事業からの撤退による業績に与える影響は軽微であります。
民泊関連事業に対する再度参入については、今後の法令整備の状況を踏まえ、決定いたします。
リリースへのリンクは、こちら
旅館業法は、昭和23年に作られ、その後骨格を変えずに70年近く運用され、ホテル、旅館、簡易宿所という3つの類型だけに宿泊施設を絞っていますので、そのまま運用するには無理があります。
例えば、民泊施設の多い新宿区、渋谷区、台東区などで簡易宿所の許可を取ろうとすると、民泊施設の中にフロントが要求され、管理人も営業時間中は常駐することを要求されます。
なぜフロントが必要かと言うと、本人確認、鍵の受渡し、会計のために必要だと言うのです。確かに、昭和23年であれば、フロントに職員がいて、これらの3つの業務をする必要があったでしょう。しかし、現在ではインターネットカメラやスカイプの電話等を通じて本人確認することもできますし、スマートキーも開発され、クレジットカードで事前決済もできます。フロントの必要性は全くありません。
フロントを必要としない墨田区で、3階建ての一戸建てで簡易宿所許可を取ろうと相談すると、1グループに丸ごと貸しするつもりなのに、旅館業法第5条で定員に空きがあれば他に宿泊客を取る必要があり、不特定の客を入れないといけないのだから、1フロア3人の定員なのに2つずつ、合計6つのトイレを設置せよと言ってきます。
合計9人の1グループであれば、トイレは2つあれば十分。1つ設置するのに70万円程度かかるトイレを4つ追加したら、300万円近くの投資が必要です。そんなにトイレを作られる家の方が可哀想でしょう。
また、150㎡の古民家で簡易宿所許可を取りたいと、某市役所に相談に行くと、昭和の一戸建ては検査済証をほとんど取っていないが、検査済証を取っていなければ既存不適格の建物なので、旅館等への用途変更は認めないの一点張り。
少子化が進む日本では、インバウンドのマーケットは貴重な成長分野です。政府の2020年4000万人の訪日観光客目標も、決して荒唐無稽なものではありません。
ただ、昨年2000万人弱の訪日観光客で80%以上の稼働率となっていた東京や大阪などで、4000万人の観光客をさばくことはできません。ホテルの建設計画も有りますが、それでも全てに対応することは不可能でしょう。であれば、820万戸以上ある空き家を有効に活用するための制度設計をしっかりする必要があると考えます。
私の意見としては、1部屋からホテルを作れるようにし(=トイレは1つでも可)、小規模な宿泊施設はフロントを不要とするよう、法改正を行うべきです。
旅館業界は民泊の足を引っ張ることに力を入れるより、英語や中国語に対応できる人材を入れて、民泊と正面から競争したらどうでしょう? 過去に国に保護されてつぶれた業界は有っても、栄えた業界はありません。競争を選択することが、旅館業界が栄えることにつながります。
もちろん、競争条件は対等にすべきです。必要な規制は必要でしょうが、本当にすべての規制が必要なのか、よく考え、不要な物はドンドン削り、緩めるべきです。手足を縛られては競争できないという主張はよくわかります。色々なテクノロジーが発達し、昔に比べたらはるかに豊かになって、諸環境が変わっています。それを前提に頭を柔らかくして課題に当たっていきましょう。
日本全体で、魅力的な観光立国を作るために協力していくことを望みます。
2016年度版の「規制改革実施計画」が昨日閣議決定しました。そのうち、民泊に関する部分は、下記のとおりです。事前に検討会などで発表されていた内容とほぼ同様ですが、
・日数制限が入ることがほぼ確定した点
・法律の見直しが、状況に応じてされる点
・インターネットで届出ができるようになる点
・平成28年度上期(9月まで)で検討⇒結論が出る点
※28年度中(29年3月まで)に法案提出する点は、検討会でも報告有り
・所管官庁が検討会を実施してきた厚労省+観光庁ではなく、厚労省+国交省になった点
が新しい情報と感じます。
■民泊サービスにおける規制改革
[規制改革の内容]
適切な規制の下でニーズに応えた民泊サービス(住宅(戸建住宅及び共同住宅)を活用した宿泊サービスの提供。以下「民泊」という。)が推進できるよう、以下の1.~3.の枠組みにより、類型別に規制体系を構築することとし、各種の「届出」及び「登録」の所管行政庁についての決定を含め、早急に法整備に取り組む。この新たな枠組みで提供されるものは住宅を活用した宿泊サービスであり、ホテル・旅館を対象とする既存の旅館業法(昭和23年法律第138号)とは別の法制度とする。なお、
・法律の施行後、その状況に応じた見直しを必要に応じて行うこととする。
・「届出」及び「登録」の手続はインターネットの活用を基本とし、マイナンバーや法人番号を活用することにより住民票等の添付を不要とすることを検討するなど、関係者の利便性に十分配慮する。
・既存のホテル・旅館に対する規制の見直しについても、民泊に対する規制の内容・程度との均衡も踏まえ、早急に検討する。
1.民泊の類型
(1)家主居住型
<要件>
①個人の生活の本拠である(原則として住民票がある)住宅であること。
②提供日に住宅提供者も泊まっていること。
③年間提供日数などが「一定の要件」を満たすこと。
「一定の要件」としては、年間提供日数上限などが考えられるが、既存の「ホテル・旅館」とは異なる「住宅」として扱い得るようなものとすべきであり、年間提供日数上限による制限を設けることを基本として、半年未満(180日以下)の範囲内で適切な日数を設定する。なお、その際、諸外国の例も参考としつつ、既存のホテル・旅館との競争条件にも留意する。
<枠組み>
○届出制とし、以下の事項を義務化する。
・利用者名簿の作成
・保存・衛生管理措置(一般的な衛生水準の維持・確保)
・外部不経済への対応措置(利用者に対する注意事項(騒音、ゴミ処理等を含む)の説明、民泊を行っている旨の玄関への表示、苦情等への対応など)
・(集合住宅(区分所有建物)の場合)管理規約違反の不存在の確認・(住宅提供者が所有者でなく賃借人の場合)賃貸借契約(又貸しを認めない旨の条項を含む)違反の不存在の確認
・行政当局(保健衛生、警察、税務)への情報提供
○住宅として、住居専用地域でも民泊実施可能とする。地域の実情に応じて条例等により実施できないこととすることも可能とする。
○宿泊拒否制限規定は設けない。
(2)家主不在型
<要件>
①個人の生活の本拠でない、又は個人の生活の本拠であっても提供日に住宅提供者が泊まっていない住宅であること。(法人所有のものも含む。)
②年間提供日数などが「一定の要件」を満たすこと。
「一定の要件」としては、年間提供日数上限などが考えられるが、既存の「ホテル・旅館」とは異なる「住宅」として扱い得るようなものとすべきであり、年間提供日数上限による制限を設けることを基本として、半年未満(180日以下)の範囲内で適切な日数を設定する。なお、その際、諸外国の例も参考としつつ、既存のホテル・旅館との競争条件にも留意する。
③提供する住宅において「民泊施設管理者」が存在すること。(登録された管理者に管理委託、又は住宅提供者本人が管理者として登録。)
<枠組み>
○届出制とし、民泊を行っている旨及び「民泊施設管理者」の国内連絡先の玄関への表示を義務化する。
○住宅として、住居専用地域でも民泊実施可能とする。地域の実情に応じて条例等により実施できないこととすることも可能とする。
○宿泊拒否制限規定は設けない。
2.民泊施設管理者
<枠組み>
○登録制とし、以下の事項を義務化する。
・利用者名簿の作成・保存
・衛生管理措置(一般的な衛生水準の維持・確保)
・外部不経済への対応措置(利用者に対する注意事項(騒音、ゴミ処理等を含む)の説明、苦情等への対応など)
・(集合住宅(区分所有建物)の場合)管理規約違反の不存在の確認
・(住宅提供者が所有者でなく賃借人の場合)賃貸借契約(又貸しを認めない旨の条項を含む)違反の不存在の確認
・行政当局(保健衛生、警察、税務)への情報提供
○法令違反行為を行った場合の業務停止、登録取消を可能とするとともに、不正行為への罰則を設ける。
3.仲介事業者
<枠組み>
○登録制とし、以下の事項を義務化する。
・消費者の取引の安全を図る観点による取引条件の説明
・当該物件提供が民泊であることをホームページ上に表示
・行政当局(保健衛生、警察、税務)への情報提供
○届出がない民泊、年間提供日数上限など「一定の要件」を超えた民泊を取り扱うことは禁止。
○法令違反行為を行った場合の業務停止、登録取消を可能とするとともに、不正行為への罰則を設ける。
[実施時期]
平成28年上期検討・結論、平成28年度中に法案を提出
[所管省庁]
厚生労働省
国土交通省
毎日新聞が全国の都道府県と政令指定都市について、フロント(玄関帳場)を条例で要求しているか、していないかを調査し、記事にまとめました。調査結果を下記に抜き出し、再構成しました。
東京の山手線沿線で言うと、千代田区、中央区、台東区、豊島区、新宿区、渋谷区と主要な区でフロントを要求しており、緩和予定がないということになります。一方、港区、品川区、目黒区、荒川区では、フロントが要求されていません。
フロントが必要な場合、営業時間中、建物内に管理人の常駐を要求されるのが通常なので、部屋の数が少ない施設は、採算が合いません。したがって、これまで手薄だった区の方が、合法民泊はしやすいと言えます。
とは言え、本人確認と緊急時の連絡先が必要であり、特区民泊のようなインターネットカメラ等を使った本人確認を許すかどうかは各自治体によりますので、あくまで面接による本人確認を要求する場合は、京都の京町屋のように鍵の受渡しステーションのような物が必要になります。フロントを要求する自治体の取り締まりが厳しくなると、今後、品川、目黒、田町、日暮里などでそういうビジネスが生まれるかもしれません。
なお、新宿区については、一部行政書士事務所のHPで間違った情報が掲載されていて、私も騙されていました。条例本文に当たったところ、確かにホテルにおけるフロントの条項が準用されており、簡易宿所にもフロントが要求されています。
政令指定都市については、東京と並んで民泊施設の多い、大阪市、京都市は、フロント既定の改正について検討中です。京都は民泊への取締りが厳しいので、改正が難しいかもしれません。一方、名古屋や福岡は改正予定ですので、改正後民泊施設が増える可能性があると思われます。
■東京23区
1.条例にフロントが必要という規定があり、改正予定なし
千代田区
中央区
新宿区
渋谷区
豊島区
文京区
台東区
世田谷区
2.条例にフロントが必要という規定があり、改正検討中
大田区
3.条例にフロントが必要という規定があり、改正予定あり
杉並区
4.フロントが必要という規定なし
足立区
荒川区
板橋区
江戸川区
葛飾区
北区
江東区
品川区
墨田区
中野区
練馬区
港区
目黒区
<条例にフロントの規定が有る道県>
△改正検討中
新潟県
島根県
○改正予定
北海道
群馬県
神奈川県
岐阜県
愛知県
三重県
奈良県
徳島県
高知県
宮崎県
<条例にフロントの規定が有る政令市>
△改正検討中
札幌市
仙台市
横浜市
京都市
大阪市
北九州市
○改正予定
さいたま市
川崎市
新潟市
静岡市
名古屋市
堺市
福岡市
毎日新聞記事
「通訳案内士」という資格があるため、民泊周辺のアクティビティは不自由ですが、環境庁が規制緩和へ動き出しそうです。法律改正は、来年の通常国会の予定ですが、規制改革会議で早くすべきという意見が出ているので、今年度の国会に法案が出る可能性も出てきたと思われます。
これは、民泊を行う方々にとって非常に大きな動きと言えるでしょう。もし資格がなくても自由に観光ガイドを提案できるなら、自分の得意な分野や人脈を活かしたアクティビティをオプションとして提案できるようになります。そうなると、民泊が単なる箱貸しではなく、属人的な魅力を持っているという点がさらに生きてきます。
そうなると、このアクティビティを実施している人の家に泊まりたいという希望が出てくるのは、自然な流れです。アクティビティから逆に宿泊所を決めるという人が出てくるかもしれません。アクティビティ専門のマーケットプレイスとしてMeetripやVoyaginに掲載することが稼働率対策の一環になる日も近いと言えるでしょう。
■参考「個人ツアーのマーケットプレイスMeetripやVoyagin」
■共同通信ニュース
毎日新聞の報道によれば、民泊を行うために簡易宿所の許可申請を行った場合、自治会やマンションの管理組合に説明会開催を開くよう指導する方針を兵庫県が決めたようです。5月1日から指導要領に組み込まれ、実施される模様。
これまで特区民泊では、特定認定申請のために、近隣への周知が義務付けられていましたが、チラシ配布などで大丈夫でした。したがって、民泊のスタートに説明会開催が要求されるのは、初めてのことです。
また、法律上簡易宿所の許可に、近隣への周知自体は必要とされていなかったので、条例制定もない状況では、あくまで指導レベルになりますが、そのために許可が出ない可能性もありますので、兵庫県では実質要件になったと考えた方が良さそうです(ただし、神戸市など、管轄から外れる地域もあると思われますが)。
外部不経済(≒近隣への迷惑)の問題解決のためには「騒音防止やゴミ捨てルールの徹底の仕方」「苦情窓口の連絡先」を住民に周知することは悪いことではありません。ハードルを乗り越えて、合法な民泊が拡がることを期待したいところです。
■毎日新聞記事