新法民泊と分譲マンションの標準管理規約

 昨年末、民泊が標準管理規約の「専ら住宅として使用」条項に反しているという国交省の見解が示されましたが、それに基づく通達は規制改革会議の方からストップがかかり、検討に入ったという情報は得ていました。その後その検討がどうなったかの発表がないと思っていたのですが、民泊サービスのあり方に関する検討会とは別の有識者会議=1月25日の都市再生分科会で検討結果が報告されていたそうです。

 その中で、政府は特区民泊が「専ら住宅として使用」の条項に反しないという立場であることを明らかにしたそうです。この見解は、特区民泊に対するものですが、これを新法民泊に適用できるかを考えてみました。今回の見解は、下記の4点にまとめられています。

 

1.特区民泊は一般的な管理規約(「専ら住宅として使用」条項)に抵触する」との趣旨の報道が一部でなされているが、政府がこうした内容の通達を出した事実はない。

 ⇒ 昨年末の会見で大臣が抵触する旨回答したのですが、通達は規制改革委員からストップがかかり、検討に入ったと報道がありました。その後は何らの通達も出されていない状態です。

 

2.従来は1ヶ月未満の借家契約(民泊)は旅館業法の規制対象下にあったが、特区においては一定の要件を満たす民泊(特区民泊)は旅館業法の適用除外となった。

 ⇒ 現時点における特区以外での民泊は旅館業法違反というのが保健所の見解です。ただ、民泊新法が施行後は、届出を出せば旅館業法の適用はないので特区民泊と同様に考えることができます。

 

3.旅館業法の適用除外により特区内では合法的に民泊事業ができるようになったが、各分譲マンションの住民らが管理規約を改正し、民泊を禁止することはできる。東京有明のマンションでは実際に改正している事例もある。

 ⇒ 標準管理規約ではなく、民泊禁止条項を入れることも可能です。残念ながら、そういう条項が入ると、民泊は規約違反になります。そういう規約は経済的自由権の不当な侵害になり無効だという意見もありますが、最終的な結論は司法的な判断に委ねられることになるでしょう。

 

4.特区民泊は、近隣住民への周知や苦情相談窓口の設置、ゴミ出し・騒音などに係る利用者への徹底など、一定の基準を満たした事業者に対して自治体が個別に認定を行う制度で、事業者認定を取り消すこともできる。そもそも住民の平穏な生活を守ることに配慮して作られた制度であり、管理規約改正を検討する際にはこの制度の内容を踏まえて検討することを推奨する。

 ⇒ 新法民泊においても、周辺住民に配慮して立法されると思われるので、特区民泊と同様に考えて良いのではないかと思います。新法での届出がない民泊については、この部分の担保がない状態ではあります。

 

 なお、上記の背後にある考え方として「旅館と不動産契約との線引き」が1ヶ月だったのを特区では7日にずらしたという説明をしています。旅館業法の適用外とする点は同じですが、新法民泊における線引きが「旅館業と民泊との線引き」である点、宿泊日数の長さが問題とされずに年間での実施日数中心に議論されている点が異なっていると言えます。

 

 いずれせよ「『専ら住宅として使用』という点を突き詰めると、現状一般的に行われている分譲マンションにおける法人登記や事務所兼用もだめになるという議論につながる」という指摘により、マンションの標準管理規約によって民泊をすべて排除できるという考え方は成り立ちにくくなっていると言えるでしょう。

 

MINPAKU.Biz

2016.02.05

特区民泊は一般的な分譲マンション管理規約には抵触しない。政府の最新見解