旅館業法の許可を取れという意見について

 旅館業法は、昭和23年に作られ、その後骨格を変えずに70年近く運用され、ホテル、旅館、簡易宿所という3つの類型だけに宿泊施設を絞っていますので、そのまま運用するには無理があります。

 

 例えば、民泊施設の多い新宿区、渋谷区、台東区などで簡易宿所の許可を取ろうとすると、民泊施設の中にフロントが要求され、管理人も営業時間中は常駐することを要求されます。

 なぜフロントが必要かと言うと、本人確認、鍵の受渡し、会計のために必要だと言うのです。確かに、昭和23年であれば、フロントに職員がいて、これらの3つの業務をする必要があったでしょう。しかし、現在ではインターネットカメラやスカイプの電話等を通じて本人確認することもできますし、スマートキーも開発され、クレジットカードで事前決済もできます。フロントの必要性は全くありません。

 

 フロントを必要としない墨田区で、3階建ての一戸建てで簡易宿所許可を取ろうと相談すると、1グループに丸ごと貸しするつもりなのに、旅館業法第5条で定員に空きがあれば他に宿泊客を取る必要があり、不特定の客を入れないといけないのだから、1フロア3人の定員なのに2つずつ、合計6つのトイレを設置せよと言ってきます。

 合計9人の1グループであれば、トイレは2つあれば十分。1つ設置するのに70万円程度かかるトイレを4つ追加したら、300万円近くの投資が必要です。そんなにトイレを作られる家の方が可哀想でしょう。

 また、150㎡の古民家で簡易宿所許可を取りたいと、某市役所に相談に行くと、昭和の一戸建ては検査済証をほとんど取っていないが、検査済証を取っていなければ既存不適格の建物なので、旅館等への用途変更は認めないの一点張り。

 

 少子化が進む日本では、インバウンドのマーケットは貴重な成長分野です。政府の2020年4000万人の訪日観光客目標も、決して荒唐無稽なものではありません。

 ただ、昨年2000万人弱の訪日観光客で80%以上の稼働率となっていた東京や大阪などで、4000万人の観光客をさばくことはできません。ホテルの建設計画も有りますが、それでも全てに対応することは不可能でしょう。であれば、820万戸以上ある空き家を有効に活用するための制度設計をしっかりする必要があると考えます。

 私の意見としては、1部屋からホテルを作れるようにし(=トイレは1つでも可)、小規模な宿泊施設はフロントを不要とするよう、法改正を行うべきです。

 

 旅館業界は民泊の足を引っ張ることに力を入れるより、英語や中国語に対応できる人材を入れて、民泊と正面から競争したらどうでしょう? 過去に国に保護されてつぶれた業界は有っても、栄えた業界はありません。競争を選択することが、旅館業界が栄えることにつながります。

 もちろん、競争条件は対等にすべきです。必要な規制は必要でしょうが、本当にすべての規制が必要なのか、よく考え、不要な物はドンドン削り、緩めるべきです。手足を縛られては競争できないという主張はよくわかります。色々なテクノロジーが発達し、昔に比べたらはるかに豊かになって、諸環境が変わっています。それを前提に頭を柔らかくして課題に当たっていきましょう。

 日本全体で、魅力的な観光立国を作るために協力していくことを望みます。