「民泊の規制案に米国勢が猛反発」というタイトルは?

 1月26日日本経済新聞に「『民泊』の規制案に米国勢が猛反発」というタイトルの記事が掲載されました。内容は、民泊の仲介サイト(プラットフォーム)に対して政府による規制が検討されている点に対し、アメリカ最大のインターネット業界団体が反発し、意見書を1月11日是正を求める意見書を出したという内容です。

 

 2点の主張が盛り込まれているそうです。

1.インターネットは国際的な物なのに、海外(アイルランド)の事業者であるAirbnbに

  日本のローカル法を適用しようとしている点はおかしい

2.違法なコンテンツがあった時に削除すれば責任を問われない

  「プロバイダ責任制限法」と矛盾している

 

 1については、日本国内の事業者が日本国内でサービス提供することについて掲載していますので、一定の規制はあり得るかとは思います。域外適用をできるかどうか自体については、現在政府部内で検討中とのことですが。

 2については、矛盾しているのですが、一般法と特別法の関係にあると考えれば、特別法が存在すること自体は、政策判断ではないかと思われます。この場合、法律同士の内容抵触であり、プロバイダ制限法が上位の法規範というわけではありませんので。

 

 その1日後アジアインターネット日本連盟(AICJ)が意見書を提出している点にも触れています。末尾に仲介サイト規制に関する部分について、原文を掲載しました。AICJの主張もある程度理解できますが、許可された業者だけを掲載してほしいという政府の主張に分があるようにも思われます。

 

 さらにTPPに関し「規制案で示唆されている海外事業者への参入規制や国内事業所設置義務は、『サービスの越境取引』を制限するもので、TPPにおける市場アクセス等に関する自由化への約束に反するのではないか」と西村あさひ法律事務所の藤井康次郎弁護士が懸念を示しているとのことです。

 

 さて、今回の記事について、内容について反論がありうるのは問題ないとしても、タイトルについてちょっと疑問を感じます。記事の内容は、仲介サイトに対する規制について米国の団体が反対しているということで、民泊自体に対する規制について、米国の団体が反発しているわけではないのです。

 タイトルだけ見て、なぜニューヨークのように民泊を禁止している都市もある、アメリカが旅館業法の改正に反対するのだろうと疑問を感じて記事を読んでみると、民泊の仲介サイト規制に反発しているのだとわかりました。であれば、「民泊仲介サイトの規制案に米国勢が猛反発」というタイトルにすべきではないでしょうか。いわゆる「釣り」というヤツでしょうか。

 

※参考資料

「情報通信技術(IT)の利活用に関する制度整備検討会中間整理

 〜制度整備の基本的な方向性〜」に対する意見(抄)

 2016年1月12日  アジアインターネット日本連盟(AICJ)

 

3 インターネット仲介機能の特性に伴う諸課題について

(1)「中間整理」の「2(4)」には、「インターネット仲介機能の特性に伴う諸課題」として、シェアリングエコノミーサービスが提起する4つの課題を提示し、①「サービス提供及び利用状況の実態把握が困難」、②「情報の非対称性の発生」、③「外部不経済の発生」及び④「ボーダレスな対応が必要」 が挙げられています。

 しかし、これらの課題は必ずしもインターネット特有の課題ではなく、インターネット仲介機能を介さなくとも起こり得る課題といえます。特に、インターネット仲介機能において、「詐欺、無許可営業」や「テロ、感染症」などの課題がインターネット特有の危険であるという印象を与える記述は、徒に国民の不安を煽り、IT 利活用を後退させるおそれもあります。誤った認識を国民に植え付けることのないよう、正しい情報の発信がなされるように要請します。

(2)「中間整理」の「2(4)」中、「シェアリングエコノミーの適正な事業運営の確保」の項目では、シェアリングエコノミーサービス事業者に対する本人特定事項の確認の義務付け、情報提供の義務付け、相談窓口等の設置や事業所の国内設置等、事業者規制しか触れられていません。このように、ただ義務を増やすだけでは、現在各業法との関係で発展が阻害されていると言われているシェアリングエコノミーの発展はありません。本来の政策目的であるシェアリングエコノミーの発展のためには、規制を増やすのではなく、旅館業法といった各業法の規制緩和、制度整備をセットで行うべきであり、且つ「中間整理」にその旨を明記すべきです。仮に各業法との関係が整理されない中で、単に規制強化のみがなされるのであれば、IT 利活用に資するものとは言えないため、当連盟としては反対いたします。